「学校からタブレットを持ち帰ってくるけれど、動画を見ているだけ…」「授業で使っているらしいけど、何をしているのかよく分からない」——そんな声を保護者の方からよく聞きます。
実は今、学校教育は大きな転換点にあります。そしてその中心にあるスキルが「タイピング」です。この記事では、なぜ今タイピングが"新しい読み書きそろばん"と呼ばれるほど重要になったのかを、公的なデータとともに整理します。
全国の小中学生に「1人1台」が行き渡った
GIGAスクール構想(外部サイト・新しいタブで開きます)——文部科学省が進めるこの施策により、全国の小中学校では児童生徒1人に1台の学習用端末がほぼ行き渡りました。調べ学習、意見の共有、提出物の作成。かつてノートと鉛筆で行われていた活動の多くが、いま端末の上で行われています。
さらに2025〜2026年度は「NEXT GIGA」と呼ばれる端末の更新期。1台あたり5.5万円の補助基準額が設定され、国を挙げて「1人1台」を今後も続けていく体制が整えられています。つまり端末を使った学びは一時的な流行ではなく、これからの標準なのです。
ところが、子どもたちの指が追いついていない
端末は配られました。では、子どもたちはそれを使いこなせているのでしょうか。
文部科学省の情報活用能力調査(令和3年度実施)(外部サイト・新しいタブで開きます)によると、キーボードによる1分間あたりの文字入力数は次のとおりでした。
- 小学5年生: 15.8文字
- 中学2年生: 23.0文字
- 高校2年生: 28.4文字
1分間に15.8文字というのは、「きょうのてんきははれ」程度の短文を打つのに1分近くかかる計算です。しかも1分間に15文字未満しか打てない児童は、小学生の51.2%——半数以上にのぼります。
頭の中に書きたいことがあっても、指がそれに追いつかない。これでは、せっかくの端末が「考えを表現する道具」ではなく「入力に苦労する箱」になってしまいます。
国の目標は「小学生で1分40文字」
この状況を受けて、文部科学省は小学生の入力速度を令和4年度の15.8文字/分から令和8年度に40文字/分へ引き上げることを評価指標として掲げています(岡山県教育委員会資料より(外部サイト・新しいタブで開きます))。現状の2.5倍。学校現場だけでこの目標を達成するのは簡単ではなく、家庭学習でのタイピング練習の重要性が増しているのが実情です。
テストまでもがキーボードで受ける時代に
もうひとつ、見逃せない変化があります。テストのデジタル化(CBT化)です。
全国学力・学習状況調査は、2025年度に中学理科で初めてコンピュータ方式が導入され、2026年度からは中学英語もCBT化(外部サイト・新しいタブで開きます)。2027年度以降は小中学校の全教科をCBT方式にする方針が示されています。「書く」設問はキーボードでの入力です。タイピングができないと、知識があっても解答用紙(画面)に表現できない——そんな場面が現実になりつつあります。
タイピングは「そろばん」と同じ、一生モノの基礎技能
読み・書き・そろばん。かつて学びの土台とされたこの3つに、いま「打つ」が加わろうとしています。しかもタイピングは一度身につければ、大学のレポートでも、仕事のメールでも、一生使い続ける技能です。
そして見逃せないのは、日本語のローマ字入力がアルファベットの配列を覚えることとセットだという点です。どうせキーの位置を覚えるなら、英単語と一緒に覚えてしまう——そんな一石二鳥の学び方が、この時代にはとても合理的です。
まとめ
- 1人1台端末は今後も続く教育の標準インフラ
- 一方で小学生の半数は1分間に15文字未満しか入力できない
- 国は小学生「1分40文字」を目標に掲げ、テストのCBT化も進行中
- タイピングは早く始めるほど長く役立つ、一生モノの基礎技能
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