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スマホは「別の部屋」に——視界にあるだけで集中が削がれる話

・ 読了 約3分

勉強中のスマホ対策というと、「通知を切る」「触らないよう我慢する」あたりが定番です。電源を切って机の端に置いておけば大丈夫——多くの家庭がそう考えています。

ところが研究は、もっと不都合な事実を示しています。スマホは、触らなくても、電源が入っていなくても、視界にあるだけで認知能力を削る——。この記事では、その研究と、家庭でそのまま使える対策を紹介します。

「机の上に置いただけ」で成績が下がった実験

テキサス大学のウォードらは、約800人の被験者に集中力を要する課題を解かせる実験を行いました。被験者は3グループに分けられます。スマホを別の部屋に置いたグループ、ポケットやカバンにしまったグループ、机の上に置いたグループです(DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(外部サイト・新しいタブで開きます)ナショナルジオグラフィック(外部サイト・新しいタブで開きます))。

結果は明確でした。成績が最も良かったのは別の部屋グループ。最下位は机の上グループ。ポケット組はその中間でした。しかも重要なことに、通知を切っていても、電源を切っていても、この差は出ました

つまり、触る・触らないの問題ではないのです。脳は「そこにスマホがある」と認識しているだけで、無意識のうちに注意の一部をスマホに割き続けます。「気にしないようにする」こと自体が、脳のリソースを消費している——我慢は、タダではないのです。

対策は意志ではなく「距離」

この研究の実践的な結論はシンプルです。勉強中のスマホは、視界から消すのではなく、部屋から消す

  • 学習の時間になったら、スマホはリビングの充電置き場など、別の部屋の定位置
  • 「引き出しの中」「カバンの中」は次善策です。実験ではポケット組も机上組より良かったので、視界から消すだけでも効果はありますが、ベストは物理的な距離です
  • これは意志力の勝負ではなく、置き場所のルールの問題です。「触らない」という約束は毎分試されますが、「学習前に別室に置く」という約束は1日1回で済みます

子どもに導入するコツ: 理屈ごと渡す

スマホを持つ年齢の子に「勉強中は取り上げる」とやると、反発と隠れ利用を招きます。おすすめは、この実験の話をそのまま伝えることです。

「触らなくても、あるだけで頭の力が削られるんだって。我慢するだけ損だから、最初から別の部屋に置くのが一番ラクらしいよ」——禁止ではなく、脳の仕様の話として渡す。そのうえで、置き場所と時間(学習の10分間だけ)を本人に決めさせると、自分のルールとして守られやすくなります。

親自身が夕食時や会話中にスマホを別室に置く姿を見せられれば、説得力は倍になります。これは子どもだけでなく、大人の仕事や読書にも同じように効く話だからです。

学習用の端末はどうする?

「タブレットで学習するのに、端末を遠ざけるの?」という疑問が出ますが、区別は用途で考えます。学習に使う端末は道具なので手元でいい。問題は、学習に関係ないのに注意を引く端末です。

理想は、学習専用の端末(学校のGIGA端末や家庭の学習用タブレット)と、娯楽の主戦場であるスマホを分けること。分けられない場合は、学習アプリだけを開き、開始前に他のアプリの通知を切る——それでも「別の部屋」には及ばないことを知っておくだけで、環境づくりの優先順位が変わります。

まとめ

  • スマホは触らなくても、視界にあるだけで認知能力を削る(テキサス大の実験。電源オフでも同じ)
  • 最も成績が良かったのは「別の部屋」。対策は我慢ではなく物理的な距離
  • 「触らない」より「学習前に別室へ」。試される回数が1日1回で済むルールにする
  • 子どもには禁止ではなく実験の理屈ごと渡し、置き場所を本人に決めさせる

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